Future Surf


Introduction

ひろーい地球でHawaiianしか考えつかなかった奇跡の遊び Surfin は、ながーい歴史の中で少しづつ進化してきた。そして、その進化はとどまることなく未来へと続く。21世紀、この奇跡の遊びは何処へ向かうのだろう?これから描くのは、オレの脳に浮かんだSurfinの未来図だ。
と言っても、セットの合間や波のない休日にテキトーに考えた話にすぎない。他人がデッチ上げた話は、あまり真剣に読んじゃぁいけない。

サーファーによる環境を考えるネットワーク
Surfer's Environmental Network

Koji Aikawa




#7 Surf Wear

 約一月半の雨の季節が終わると、はだかの季節がやってくる。
 はだかの季節といっても、最低限のものは身につける。ホントになにも身につけないでSurfするのも気持ちいいんじゃないかと思うんだけど、痛いんじゃないかって気もする。とにかく最低限のものを身につける。
 オレが波乗りを始めたときは、原色の短めのトランクスをはいたなぁ。すぐに色があせちゃうんだよね。数年後には、競泳用のビキニパンツを着けてSurfしていた。当時は結構たくさんいたよね、競泳用ビキニパンツはいてSurfしてる人。20代前半までの世代にゃぁわかんねぇか?その後はビキニパンツでSurfする人、あまりいないもんね。その次は、反動からかだぶだぶのトランクスが流行ったかな。オレも渋い色のトランクスをはいた。ま、その後は丈や色が少し変わる程度で、ずーっとトランクスを着けている。

 いずれにしろ、”パンツいっちょ”で海にはいるのが一番気持ちがいい。夏ってホントいいね。はだかで砂の上に寝ころぶってのが、これまた気持ちいい。

 砂の上に寝ころんで空を見上げると、そこには何がある?そう、オゾン層だ。え、見えない?そーいわれてみれば、確かに見えないね。
 地球の周りには空気がある。空気のあるところが大気圏だね。大気圏はキミの頭上120kmぐらいの高さまで続いている。で、キミの頭上20〜25kmの辺りにオゾンの濃度が濃いところがある。その層がオゾン層って奴だ。あ、オゾンってのは酸素原子が3つ集まっている奴で、酸素分子に光りエネルギーが当たるとできる。
 そのオゾン層のオゾンがめっちゃ少なくなっちゃったってぇ現象が起きていることが分かったのは、1970年代終わり頃のことだ。オゾンの濃度がめっちゃ少なくなったところを、”オゾンホール”って言うんだけど、それが南極上空に毎年できるようになった。オゾンを壊している主な物質がフロンって奴だって言われ出したのが1985年。フロンってのは元々地球にはない”ハロゲン化されたアルカン類”で、1930年頃に発明されたものだ。ハロゲン化されたアルカン類ってのがよくわかんないよね。フロンってぇ名前だけ覚えておけばいいか。
 オゾン層破壊に対する各国の対応は早かったね。1987年には”オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書”ってぇルールを作ってフロンを減らすことにしたし、1996年には先進各国が特定フロンを全廃しちゃっている。オゾンは酸素分子と光エネルギーがあればできるから、フロンによる破壊がなくなれば、その量は元に戻る。ってことは、これでオゾンホールも解消だー!って思った?そりゃ大間違い。フロンってのはオゾン層にたどり着くまでにかなり時間がかかるから、フロンを全廃したからって、すぐにオゾン層が回復するってもんでもないらしい。人が放出したフロンは、まだまだたくさんオゾン層の下の対流圏を漂っているし、各家庭の冷蔵庫やエアコンの中にもフロンはねむっているってのが今の状態。オゾン層の研究で1995年にノーベル化学賞を受賞したドイツのマックス・プランク化学研究所のポール・クルッツェン博士が最近語ったところによると、近年は北極上空にもオゾンホールに近い状態が観測されていて、状況は悪化しているらしい。また、地球温暖化に関連した大気の変化がオゾン層の回復を大幅に遅らせ、オゾンホールは21世紀末まで消滅しないかもしれないとも言っている。1998年にオゾンホールの大きさは過去最大となった。南極大陸の約2倍の大きさだったんだってさ。
 あ、もちろん日本の上空にあるオゾン層も壊され続けているわけで、極地ほどじゃぁないにしろ、多少の影響はある。

 なんで、オゾン層が壊されちゃぁ困るのかを話していなかったね。
 地球上に生命が誕生したのは、約38億年前。みんなも知っているように海の中で生まれた。で、海で生活していた生物たちが陸に上がるようになったのは4〜6億年前。生物が30億年以上陸にあがれなかったのは、オゾン層がなかったからなんだ。オゾン層がないと有害な紫外線が地表まで届いちゃう。そーなると、生物は地上で生きられないんだね。
 そんな大切なオゾン層のオゾンが減っちゃたんじゃぁ、生物の絶滅とは行かなくても、細胞障害や皮膚ガンなんていった病気になる確率が増えるに決まっている。手元にデータがないんだけど、南極に近い地域では、確かにそーゆーことがおこっているのが調査で確かめられている。ちなみに、オゾン濃度が1%減ると、地表に達する紫外線は2%増える。

 未来に、もしオゾン層のオゾン濃度が極端に下がることになると、Surferは”はだかの季節”にもはだかでSurfできなくなる。夏、Line upするSurferは、トランクスだけ身につけているんじゃなく、目の部分だけ穴の空いた全身タイツを身につけ、UVカットガラスを使ったゴーグルをしているかもしれない。モジモジ君がたくさん海に浮いているのを想像してみよう。そーなるかもしれないって事だ。
 その全身タイツのデザインは、年によって変わるんだろうね。真っ黒なモジモジ君の多い年もあれば、原色やアースカラーのモジモジ君の年もあるのかもしれない。ま、いずれにしろ確かなのは”カッチョ悪い”ってことだね。むれるし。

 ありがたいことに、今まで人間が出したフロンによるオゾン層の破壊は、細胞障害や皮膚ガンの患者は少し増えるだろうけど、はだかで日に当たることができなくなるほどにはならないことが予測されている。各国政府や企業の対応が早かったおかげだ。とはいえ、各家庭の冷蔵庫やエアコンの中にねむっているフロンが、買い換えの時に放出され続けたんじゃぁ、全身タイツでSurfするってのが冗談じゃなくなっちゃうかもしれない。

 念のために。
 有害紫外線を浴びないために、UVカットの日焼け止めオイルを塗ったくって海に入るのはやめてくれよ。オレは油膜の浮いた海に入るのはあまり好きじゃないんだ。

                         Jun.08.1999



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