Future Surf


Introduction

ひろーい地球でHawaiianしか考えつかなかった奇跡の遊び Surfin は、ながーい歴史の中で少しづつ進化してきた。そして、その進化はとどまることなく未来へと続く。21世紀、この奇跡の遊びは何処へ向かうのだろう?これから描くのは、オレの脳に浮かんだSurfinの未来図だ。
と言っても、セットの合間や波のない休日にテキトーに考えた話にすぎない。他人がデッチ上げた話は、あまり真剣に読んじゃぁいけない。

サーファーによる環境を考えるネットワーク
Surfer's Environmental Network

Koji Aikawa


Pic by Y.N

#3 The judgement day

 タイトルの"The judgement day"は、一般的には”審判の日”と訳される。宗教色が濃いね〜。この場合、審判は人に対して下される感じだな。そんな"The judgement day"が、映画”ターミネーター2”のサブタイトルとして使われたときには、宗教色がだいぶ抜けていた。”審判の日”と言うより”判断する日”と訳される内容の使い方だったと思う。人類の未来を、主人公である”人”が判断していた。今回オレは"The judgement day"を、”判断する日”として使う。判断するのは、もちろん"Surfer"だ。

 何かを判断するとき、どーいった方法をとるだろう?いろいろ方法はあるんだろうが、オレ的には手持ちの情報を基に、頭の中でリスク(危険)とベネフィット(利益)とをはかりにかける、と言う方法をよく使うね。損得勘定じゃねぇか!って言われたら、”その通りです”って言うしかないんだけど、実に合理的な方法だと思うよ。みんな、けっこう使ってんじゃぁないの、この方法?

 じゃぁ、この合理的な方法でSurfin'を見てみよう。
 まずはベネフィット。これは、”Surfする理由”と同じだ。とにかく気持ちいい、アドレナリンが出ちゃう、リラクゼーション、自然との一体感、モテる(場合もある)なんてぇのが多いのかな?ま、全てのSurferがそれぞれの理由でSurfしているわけだから、いろいろあるよね。
 次にリスク。考え込んじゃう人が多いんじゃないかな。で、考えたあげくに”混んでるポイントだと、Clashすることがある”、”ボトムにClash”、”エボシに刺される”なんてぇ外傷系の話が出てくる。たしかに、今のところ思い当たるSurfin'のリスクは、まれにおこる外傷と、多少世間体が悪い(市民権がないからね)ことくらいかな。

 今、Surfin'のリスクとベネフィットをはかりにかけ、Surfin'をやめる人はほとんどいない。

 ところが、既に出されている警告を無視した場合、状況は変わってくるだろう。 警告ってのは、”有害化学物質による海洋汚染が進んでいる”ってぇものだ。
 有害化学物質ってのは、たくさん種類があるんだけど、有名なところでは絶縁油として使われるPCBとか殺虫剤のDDTなんてぇのがそれだ。どちらも既に世界各地にばらまかれ、大気や土、川などを伝って海に流れ込んでいる。PCBは、多量に取り込むと、皮膚炎になったり肝臓を壊したりする。分解されにくいから、イルカ、クジラ、アザラシなんかの体内から多量に検出されている。授乳を通じて、子供にも移行するらしいよ。DDTによる慢性中毒になると、運動失調や知覚異常などになっちゃう。これも、分解されにくい。そして、1999年1月29日付日本経済新聞に、”PCBなど全廃見送りへ 有害化学物質禁止条約交渉”という見出しの記事が出た。有害化学物質の生産・使用を国際的に禁止する条約を結ぶために開催されていた政府間会合で、PCBやDDTなど6種類の有害物質の全廃が見送られたってぇ内容だ。PCBやDDTは先進国では既に生産・使用が禁止されているが、多くの途上国では”安価な代替品がない”って理由でこれからも使われ続ける。有害化学物質による海洋汚染は進むってことだ。

 さらに、今話題沸騰中の環境ホルモンも有害化学物質だね。環境ホルモンもたくさん種類がある。有名なのは、人類が合成した最強の猛毒だと言われてるダイオキシンだ。環境ホルモンについては、一度本を読むことをオススメするね。オレが読んだのは、最初に環境ホルモンについて警告した”奪われし未来”って本なんだけど、本当に未来が心配になったよ。環境ホルモンは、生殖作用に影響があるから、人類が存続できるかどうかってぇ問題になっちゃうんだな。そして、1999年1月15日付日本経済新聞に、”日本海の深さ1000メートル 環境ホルモン測定 資源環境技術研調べ”って見出しの記事が出た。河川で測定されたものより値は小さいが、日本近海で環境ホルモンの一種とされる”ノニルフェノール”による汚染が認められたってぇ話だ。対策はとられ始めたが、既に汚染が広がっているってのも事実だ。しかも、環境ホルモンは、その研究が始まったばかりの分野で、分からないことが多い。

 近未来、有害化学物質による海洋汚染がさらに進み、その影響がさらに研究され、その情報を多くのSurferが知るようになった場合、Surfし続けることで自分と子孫が健康被害を受ける可能性、つまりSurfし続けることのリスクは、そのベネフィットとはかりにかけられるほど大きなものとなる。各Surferは、Surfし続けるかどうかについて、"The judgement day"を迎えなくちゃぁならなくなる。

 えっ?リスクを減らすためにはどーするかって?とりあえず情報を集めて、あとは自分で考えてくれ。

   念のために。リスクとベネフィットをはかりにかける際、無意識に”勘”、”先入観”、”習慣”、”欲”なんかもはかりに載せちゃうときがある。そんなときの判断は、たいてい間違ってくる。気を付けよう。
                                        Feb.11.1999
     


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