G-LAND 満ライの旅

大熊 直人 (おおくま なおひと)
●6/29
GーLand Express ! GーLand Express !
運転手の大きな声ではっと目を覚ました。
いつの間にかホテルのロビーでうとうと眠っていた。
さっそく車に乗り込みまた眠る。
予定ではスピードボートで現地へ直行するはずだったけど
外洋の波を受けて二つに折れたらしい。

●6/30
フェリーとボートを乗り継ぎGーLandへ着いたのは31日の朝。
朝食を済ませてから波をチェック。
まずまずのコンディション。
入ってみるとブレイクが速くテイクオフのタイミングが取れない。
ウルワツよりもかなりソリッドだ。
午後の2ラウンド目でやっと数本乗れる。


●7/1 自分が死んだ後はどんなところで暮らしたいか? ...といった問いの答えがここGーLandかもしれない。 衣食住がサポートされたキャンプ生活と 数分のパドルアウトで逢える極上の波。 波は昨日よりもワンサイズ上がっていい感じだ。 午前中はスケールと極浅リーフであまり乗れず。 午後、意を決してテイクオフする。 板の上に立った瞬間、波は垂直に掘れてしまうので ボトムまでは垂直落下といった感じ。 それでも2本程いい感じで乗れたので満足ライディング。 略して満ライとする。 ●7/2 サイズをぐっと落として頭位しかない。 取りあえず入る。これじゃスイッチオフだ。 んなわけで午後は読書と昼寝で楽をする。 ●7/3 今日もフラットでガッカリする。 朝食の後、ハンモックで横になり空を眺める。 なにをしてたかっていうと...ただ呼吸をしてた。 下水設備がないので生活排水は垂れ流しとなる。 そんなわけでこの3日間シャンプーしなかったけど さすがに我慢できないので洗う。 気持ちいい!
●7/4 今日もフラット。為す術もない。 夕方、水パイプを盛ってから一人で散歩に出る。 しばらく歩くと難破船があった。 船倉に入ってみると朽ちた荷物の中に古本が散乱してる。 一冊を開くと 「ある時、魚の国の子魚がその国の王女に訪ねた。 王女様、僕達が暮らしていると聞く海はいったいどこにあるのでしょう? 王女は両手をパンと打ならし子魚をはっとさせる。 ごらん、ここはすでに海です!あなたが海の中です!」
しばらくしてから甲板に上がると夕焼けがきれいだ。 またゆっくりと歩き出す。キャンプに着く頃には暗くなっていた。 密林の中からこちらを伺う気配を感じる。 獣のようだ。そう、ここでは僕ら人間も食物連鎖の環の中にある。 いつも食べてきた動物性蛋白。今度は僕らが食べられる番だ。
●7/5 夜中に大きな音で目が覚めた。 始めは何かわからなかった。 しばらくすると沖の方から波の崩れる音が響いてくる。 コップの水が揺れる。 こんな音は聞いたことがない。 いったいどれ位あるんだろう... 夜が明けたので浜へ出る。 既に皆集まっていた。 中氏が呟く。 いきなり10feetだもんね。 今日はいいぞ。 とまあ...そんなわけで最終日に舞台は整った。 淡々と食事を済ませ、 いつも通りにワックスをかけ、 コードや板を確かめてから 思い思いに海へ吸い込まれていく。
やっぱりぐっとくる! 注意を払ってよく観て、行くと決めたら必ず行く。 2本目の波はちょっと遅すぎた。 パドルが足りない!それでも立つ! ボトムで刺さる!2回叩きつけられる。 ウエットを着てて良かった! 目を開ける。水面が遥かに遠い。 ゲゲ!間に合わねえ! 浮かんできたら次の波がすぐそこまで来てる。 深呼吸をしてから、また引きずり込まれる。 気が付くと水のないリーフの上を転がっていた。 もうたばこはやめようかと真剣に考える。 でも昼食の後はもうそんなこと忘れてる。 小野瀬氏の板が折れたらしく、コードを念入りにチェックしている。 フィンでこすったのか半分切れてるのを発見した。 さすがだ。こういったことは生死に関わってくる。 午後はさらにサイズアップして手がつけられない状態。 もう誰も入ってこない。ほんの数人だけ。 流れも川のようだ。 いつもは左奥からラインナップするのに右からも山のようにうねって来る。 セットだ!逃げろ! セットの10本目ぐらいの波をやり過ごす時に、 落ちてきたリップに引っ掛かりブーツが半分脱げてしまう。 セットが止んで後ろを振り向くと、その人は板を流したようだ。 僕の技量ではちょっと役不足だ。 もう何があっても不思議じゃない。 それでも小さ目の7feet位の奴をなんとか乗る。 海から上がった時は怪我もなく無事で良かったと思う。
中氏、小川氏、小野瀬氏といった熟練どころは平気な顔して 10feetのチューブから飛び出して来る。 出てきたかといってそれをアピールするわけでもなく、 何もなかったかのように沖へ向かう。 飲む-打つ-買うと3拍子揃っただんな衆にはついて行けない。 ついていった日には命がいくつあっても足りない。 海へ入ることに集中してたので写真を忘れた。 善朗さんが写真を撮っていた。 SW誌に載るのだろうか。 タイトルは...「中年男 G-Land ツア〜 」なんてね。 ちょっとださいか...。
●7/6 サイズはぐっと落として4〜6feet。 昨日の半分だ。シェイプもいい。 だけどもう出発の時間だ。 後ろ髪を引かれる思いでボートに乗り込む。 もし来年来れるならもうちょっと上達しておきたいなと思った。
左から 加藤将門氏夫妻 大熊直人 小川昌男氏 小野瀬祐一氏 池尾誠氏 仲山善朗氏 宇田大地氏 写真 中和房氏

  ps. 20年振りのバリにはカルチャーショック受けました。 かって貧しくても精神性豊かで素朴で善良な人々。 何か神秘な気配を感じたこの地も、 今は金と物に目がくらんだ人がいっぱいで湘南のようです。 土地の人には経済的な発展はとても大事だろうと思う。 そして形のない何か大切なものを説明することも忘れちゃいけない。 そうでないと失うものは計りしれない。

感想をお寄せください。大熊 直人 green@NetLaputa.ne.jp



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